本日は、小栗忠順について、書こうと思います。
小栗忠順って、幕末の天才、すごい人で、名前は聞いたことがありますが、何をした人なのか、あまり知られていませんよね。
今回の大河ドラマ『青天を衝け』では、渋沢栄一との絡みもあり、気になる登場人物です。
そんな小栗忠順の大河ドラマ出場回数は、4回。古くは、『竜馬がゆく』『勝海舟』、そして、2010年の『龍馬伝』で斉藤洋介さんが、今回の『青天を衝け』で武田真治さんが演じられています。
また、小栗忠順が主人公のドラマとして、NHKで、『またも辞めたか亭主殿〜幕末の名奉行・小栗上野介〜』が岸谷五朗さん主演で放送されていますね。
幕末の日本を語る上で、外せない重要人物の小栗忠順とは、一体、どんな人だったのでしょうか?
🔵第18回より登場
<#青天を衝け 登場人物>
遣米使節として渡米。近代産業に驚き、造船所のネジを持ち帰る。帰国後は勘定奉行として理財の才を発揮。貿易会社の設立や軍備の拡大を進めるため、パリ万博の裏でフランスからの融資実現に向けて奮闘する。 pic.twitter.com/4ixqHb6rns
— 【公式】大河ドラマ「青天を衝け」 (@nhk_seiten) June 12, 2021
小栗忠順とは、どんな人?
小栗忠順は、文政10(1827)年に江戸で生まれました。父は、旗本の小栗忠高です。幼名は、剛太郎と言います。
小栗家は、三河小栗氏と言われ、三河の頃の古くからの家臣でした。
小栗忠順は、子供の頃から、大変、優秀で、学問や剣術など、能力に秀でていました。
8歳の頃に、安積艮斎(あさかごんさい)の私塾、見山桜に入門しました。見山桜は、小栗家の屋敷内にありました。そして、この見山桜には、盟友とも呼ばれている栗本鋤雲も学んでいたのです。生涯を通じて、交流のあった栗本鋤雲とは、こんな少年時代の頃から、知り合いだったのですね。
ちなみに年齢は、栗本鋤雲が5歳上です。
大河ドラマ『青天を衝け』では、小栗忠順を武田真治さん、栗本鋤雲を池内万作さんという大人の俳優さんが演じられていますが、ドラマの中では、なんとなくセットっぽく見えるこの二人の少年時代は、どんな友人、どんなライバル関係だったのだろうとか、気になりますね。
小栗忠順は、14歳の頃、開国論に目覚めます。
天保14(1843)年、17歳で、初めて、江戸城に登城します。この時の役職は、両御番(りょうごばん)というものです。両御番とは、書院組と小姓組番を合わせたもので、主に将軍の警護・警備などを担当する仕事でした。あまりにも優秀なため、その発言により、周囲とうまくいかず、度々、職を変えられるなんてこともあったそうです。ただ、やはり優秀なので、また元の職に戻されたりと、もうこの頃から、すでに頭角を現していたようですね。
嘉永(1849)年、結婚します。妻は、播磨国林田藩の藩主 建部政醇の娘の道子です。
安政2(1855)年に、父の死に伴い、家督を継ぎます。
小栗忠順と勝海舟・渋沢栄一との関係は? 持ち帰ったネジ
安政7(1860)年に、日米修好通商条約の批准のための使節団の一員に抜擢されます。アメリカのポータハン号で渡米。その際にハワイを経由して、サンフランシスコへと向かいます。その後、大西洋から、アフリカ喜望峰を通り、インドネシアから香港を通るという地球一周をします。
現代でもあまり世界一周旅行をした人って、聞かないですよね。今から、160年以上も前に、異国を訪れた小栗忠順は、周りの人々とは、スケールの違う考え方や価値観を持ったのではないでしょうか。
ちなみに時を同じくして、幕府の軍艦である咸臨丸もアメリカへと向かっていました。この咸臨丸には、勝海舟や福沢諭吉、ジョン万次郎らなどが乗船していました。咸臨丸は、幕府の船として、初のアメリカ横断をします。そしてポータハン号の一足先に、サンフランシスコに入港しました。咸臨丸は、その後、ハワイを経由して、日本に戻ります。
小栗忠順らが乗ったポータハン号は、日本を出て、約2ヶ月後、無事、サンフランシスコに到着しました。
そこで、小栗忠順は、とてもカルチャーショックを受けたようですね。
フィラデルフィアで通貨交換比率の見直しの交渉などに尽力をしました。
結果的には、比率の改定までには、至らなかったのですが、小栗忠順のこの時の功績は、高く評価されたのです。
そして、この時、小栗忠順は、記念にネジを持ち帰っています。アメリカとの圧倒的な技術力の差に圧倒された小栗忠順は、国内で、ドンパチをやっている場合ではなく、早く諸外国に追いつかなければという思いがあったのでしょうね。
小栗忠順の最大の功績 横須賀造船所
小栗忠順は、郵便や電信、またガスといったライフラインを提案したりと、さまざまな改革を唱えたましたが、彼の最大の功績は、何と言っても、この横須賀造船所でしょう。
当時、日本が外国から船を買っていました。日本で船を作ることはできなかったのです。船の修理さえもわざわざ海外に持って行って、直してもらっていたのです。これって、修理代もさることながら、輸送費とかもかかるし、なかなか手間な気がしますよね。
それを造船所を作って、日本で造船や修理ができるようにしよう、また船以外でも、鉄製品などを作って、日本を近代化しようと考えたのです。
これには、勝海舟が異を唱えたりと、周りから反対の声もあったようですが、小栗忠順は、説得して、これを実行するにあたりました。
小栗忠順は、なぜ殺されたの?
徳川慶喜が大政奉還をし、幕府の歴史は、終わりを告げました。
小栗忠順は、大政奉還には、反対でした。
これまで、攘夷を唱えていたような藩たちには、新政府を任せるなんて考えられないと思っていたそうですが、徳川慶喜は、小栗の徹底抗戦に対して、勝海舟の唱える恭順の意を受け入れました。
小栗忠順には、自信があったのです。こんなに近代化を進めて来たのだから、きっと勝てるだろうと、負けることなんて考えられないと。
小栗忠順は、幕臣を辞職し、知行地にて、隠居生活に入ります。穏やかに暮らしていた小栗の元へと魔の手が伸びます。
小栗は、官軍総督府に捕らえられると、取り調べもほとんどされぬまま、斬首され、非業の死を遂げました。42歳でした。
新政府は、知行地で隠居している小栗のことが不気味だったのでしょう。他の多くの優秀な幕臣たちが、殺されず、赦されたのに対し、小栗忠順が殺されたのは、あまりにも天才がゆえに怖かったのだと思われます。
そして、幕臣だった小栗を処刑することで、様子を伺っていた諸藩を味方につけようとしたのでしょう。
幕府の要職にあった小栗を処刑することで、新政府の力を見せつけることにもなり、また、小栗が死んだことで、幕府は、もうおしまいだということも示したかったのかもしれません。
小栗忠順の子孫は?
小栗忠順の子孫についてですが、実は、漫画家さんがいらっしゃるのですよ。
小栗かずまたさんという方です。小栗かずまたさんは、本名は、小栗又一郎さんといい、小栗忠順の玄孫(やしゃご)にあたります。玄孫とは、ひまごの子供です。
1974年生まれの東京都出身です。
小栗忠順は、三河小栗家の12代目当主ですが、この小栗かずまたさんは、17代目の党首に当たるそうです。
1994年に第40回赤塚賞に『トウフノカド』という作品で準入選します。この作品が『少年ジャンプ 1994年 Summer Special』に掲載されて、デビューを果たされます。
代表作には、週刊少年ジャンプに連載された『花さか天使テンテンくん』などがあり、テレビアニメ化もされた人気作品となりました。
小栗忠順の子孫ということで、「よこすか開国祭」にて、『オグリン』というキャラクターを手がけられたり、横須賀造船所の150年周年の際もキャラクターデザインを手がけられるなど、幅広い活動をされています。
小栗忠順を演じるのは、武田真治さん プロフィールは?
そんな小栗忠順を演じるのは、武田真治さんです。
武田真治さんは、1972年生まれの48歳。北海道の出身です。ご結婚もされていて、奥様は、モデルで、歯科衛生士としても働いておられる静まなみさんです。ご結婚されたのは、2020年というごく最近の話で、1994年生まれの静まなみさんとは、年齢差のあるご夫婦なんですね。
俳優としても人気と実力を兼ね備えた武田真治さんですが、サックス奏者としても、大変有名です。2019年にNHKのニュース番組『ニュースきょう一日』のテーマ曲でサックス演奏を担当されました。
そのせいなのかは、わかりませんが、武田真治さんと、NHKのアナウンサーである武田真一アナウンサーとの名前がごっちゃになっている人もいるとか。名前が似ているとこんがらがっちゃうこともあるみたいですね。
最近では、バラエティ番組での筋トレやトレーニング、ダイエット、筋肉体操などで話題になる武田真治さんですが、俳優歴も長く、数々の名作のドラマ、映画、ミュージカル作品などに出演されているんです。
20代の頃は、『南くんの恋人』『君の手がささやいている』などという作品で、ヒロインの相手役を演じられるなど、爽やかな青年の役が多かったと思います。
その後も多彩な演技力で、主役級から、脇役まで、さまざまな役を演じられました。
代表作には、ドラマ『NIGHT HEAD』、『美食探偵 明智五郎』や映画『子猫の涙』『七人のおたく』など、その他も数え切れないほどの話題作に出演されています。
ちなみにNHKの大河ドラマ出演は、今回が2回目。前回は、『江〜姫たちの戦国〜』で大野治長役を演じられました。NHKにたくさん出ているイメージがあったのですが、大河ドラマは、2回目なんですね。
今回の小栗忠順役でも役作りに関して、こだわりを持って、演じておられるそうです。インタビューの中では、「小栗は、世界を見てきた人なので、西洋のかばんを使ってはどうか」と提案されて、採用されたそうです。小栗忠順のシーンは、そうは多くはないのですが、テレビを観ていても「きっと実際の小栗忠順もこうい面があったんじゃないかなあ」という雰囲気がすごく良く伝わってきます。
2021年の初めは、新型コロナウイルス や新型インフルエンザなどの感染もあり、ミュージカル『パレード』の舞台を一時、休演されるなど、ご苦労をされた武田真治さんですが、大河ドラマ『青天を衝け』では、小栗忠順という重要な役柄で、さらなる活躍が楽しみですね。
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