『みつばの郵便屋さん』のあらすじ、シリーズの読む順番は? 最新刊は『階下の君は』

小説

こんにちは

今日は、『みつばの郵便屋さん』という小説について書きたいと思います。

『みつばの郵便屋さん』は、ポプラ社から出版されている小野寺史宜(おのでらふみのり)さんの大人気シリーズです。シリーズもすでに6作目を迎え、本屋さんや図書館で目にされたことがある方も多いと思います。表紙のイラストもとてもかわいいんですよね。

今回は、『みつばの郵便屋さん』を読んでみたいけど、どの本から読めばいいの? 『みつばの郵便屋さん』って、どんな話なの? 作者の小野寺史宜(おのでらふみのり)さんは、他には、どんな小説を書いているの? などについて、書きたいと思います。

みつばの郵便屋さん とは? あらすじ は?

主人公は、郵便局に勤務する配達員の平本秋宏くん。

『みつばの郵便屋さん』は、平本秋宏くんが、みつばという町の郵便配達をしていく中で、そこに住む人々との交流を描いた物語です。

『なんだか、誰かに会いたくなる物語です』というキャッチフレーズにもあるように、ほっこりとした雰囲気を届けてくれる優しい気持ちになれるお話です。

みつばは、蜜葉市という架空の市にある町で、埋立地であるみつば地区と、高台の四葉(よつば)地区があります。この「みつば」と「四葉」が平本秋宏くんの配達の担当地域になります。

区画整理された埋め立て地で、マンションが多いみつば地区と、昔からある町の四葉。四葉の方は、区画整理はされておらず、雑木林や空き地、田畑や曲がり道も多く、方向感覚が難しい町です。

この辺りの設定が面白いなあと思います。郵便配達を実際にしたことは、ありませんが、マンションや集合住宅が多い地域ならではの大変さや、昔ながらの区画整理されていない地域への配達のそれぞれの大変さも伺えますね。これについて、秋宏くんは、最新刊『階下の君へ』の中で、住宅地のみつばと、少し田舎の四葉、どちらが楽ということはなく、配達員によると答えています。秋宏くん自身は、みつばを配ったり、四葉を配ったりと、両方、配るというのが、気が紛れていいそうです。

ちなみに秋宏くんが勤める『郵便会社 みつば支店』は、みつば地区にあります。

町の名前もファンタジーな感じがしていいですね。

平本秋宏くんのプロフィールですが、『みつばの郵便屋さん』に、郵便局が公社化される前年に採用試験を受けて、入社したということが書かれています。大学には、進学せずに、採用試験を受けて合格しています。中学の頃に郵便番号が7桁に変わった世代です。

配達時にもバイクのスピードを出し過ぎないことや、配達の際の郵便物の宛名確認に時間をかけすぎてしまうなど、仕事ぶりからも、慎重で、真面目な性格であることが伺えます。

郵便配達という地域に密着した、ごくごく平凡な生活を送っている秋宏くんには、春行くんという、年子のお兄さんがいるんですが、この春行くんが人気の芸能人なんです。この兄弟は、見た目がそっくりなんです。これだけでも、なんだか面白そうですよね。

そして、なんと、一人暮らしをしている秋宏くんの自宅を、春行くんが、(春行くんの)彼女の「売れっ子タレントの百波(もなみ)ちゃん」と会うための隠れ家に使っているんです!

毎日の郵便配達を終えた秋宏くんが家に帰ったら、百波ちゃんが家にいたりするという非日常な場面に、読者の方まで、ドキドキさせられるシーンもあり、ほっこりとした日常の中に、非日常がほどよく混ざっているような、そんな物語です。

秋宏くんと春行くんの兄弟の関係も面白いです。

その他にも、支店のアルバイトの園田くんや、配達先のカーサみつばに住む人々、シリーズ3作目では、親子二代の配達員の筒井美郷さんの話や、シリーズ5作目では、秋宏くんの初恋の人が引っ越して来たり、巻が進むごとに、配達先で出会う町の人々、一緒に仕事をしている人々との、さまざまな人間関係が繰り広げられます。

正直、そんなにたいした事件は、起こらないけれど、心がほっこりするような読後感があります。読者の方々の評判やレビューもとてもいいんですよね。

実際の郵便配達のお仕事って、きっと大変なのでしょうね。雨の日も風の日も配達をしなくてはならないし、今は、留守にしている家も多いし、配達してもらうのが当たり前になっていて、「ありがとう」の言葉よりも、苦情の方が多いかもしれない。現実には、こんな人間ドラマは、あまりないかもしれません。でも、そんな、ともすれば、殺伐になりがちな世の中に、ホッとひと息入れてくれるようなお話が詰まっています。




みつばの郵便屋さん シリーズ 読む順番は?

『みつばの郵便屋さん』は、2012年5月に単行本で出版されました。出版社は、ポプラ社です。

その後、2014年8月にポプラ文庫化されて、読みやすくなりました。その後の続刊も全て、文庫本で出ています。

本屋さんや図書館の棚で、ずらっと並んだ『みつばの郵便屋さん』を見て、「一体、どれから読めばいいの?」と迷ってしまうかもしれません。どの本も面白そうですものね。

というわけで、『みつばの郵便屋さん』を読む順番ですが、全てポプラ文庫化されたこちらの

『みつばの郵便屋さん』2014年8月

『みつばの郵便屋さん』先生が待つ手紙 2015年2月

『みつばの郵便屋さん』二代目も配達中 2015年11月

『みつばの郵便屋さん』幸せの公園 2017年10月

『みつばの郵便屋さん』奇蹟がめぐる町 2018年11月

『みつばの郵便屋さん』階下の君は 2020年11月

という順番で読むのがいいと思われます。

連作の短編集なので、シリーズの何作目から読んでも、じゅうぶんに楽しめると思います。ただ、やはり、前のお話で出てきた登場人物がもう一度出てきたり、今までの人間関係や、『みつば』という町の雰囲気を掴む上で、できればシリーズ順に読み進めたほうが楽しめるんじゃないかなあと思います。

また、平本秋宏くんの勤める郵便局に、新しい配達員さんが異動してきたり、局長が変わったりという秋宏くんの周りの人間関係の変化や、今まで体験したことがない仕事上での新しい事件など、主人公とともに成長を楽しめるのも、シリーズを順番に読んでいくという醍醐味でもありますね。

とはいえ、もしも、途中の巻に縁があり、そこから読んでいっても、「ああ、この人、最初は、こんな登場の仕方だったんだ」みたいな驚きがあって、謎をパズルのように埋めていくような逆の楽しみ方があって、面白いかもしれませんね。

私は、中でも『みつばの郵便屋さん 奇蹟がめぐる町』が好きです。秋宏くんの初恋が描かれているところや、この巻に収録されている、おしまいのハガキは、喪中ハガキをめぐる物語なのですが、日頃、知ってそうで、知らなかったりする郵便に関する知識が少し学べるのもいいですね。




みつばの郵便屋さん 最新刊は、『階下の君は』

続編が気になる『みつばの郵便屋さん』ですが、現在の最新刊は、2020年11月に発売された『みつばの郵便屋さん 階下の君は』です。順番的には、みつばの郵便屋さん6となります。

みつば局での勤続が7年目、30歳になった秋宏くんですが、今年も人事異動の声は、かからず。みつば局の中の人事異動の状況が描かれていて、ファンタジーな物語の中でも、少し現実的な描写から始まります。

表題作の『階下の君へ』は、小説家の横尾さんが出て来ます。この横尾さんの上の階には、三好たまきさんという翻訳家の女性が住んでいるんです。三好たまきさんは、『みつばの郵便屋さん』の第1巻の第1話から登場する重要な人物です。この二人に、秋宏くんがどう絡んでいるかは、読んでからのお楽しみということにしておきましょう。




みつばの郵便屋さんの作者は 小野寺史宜(おのでら ふみのり)さん

さて、この『みつばの郵便屋さん』の作者である小野寺史宜さんについてです。

小野寺史宜さんは、1968年に千葉県で生まれました。法政大学文学部英文学科を卒業されています。代表作には、『みつばの郵便屋さん』の他にも、『ひと』『まち』『ライフ』『今夜』『縁』など、数々の著作があります。

2006年、『裏へ走り蹴り込め』で、第86回オール讀物新人賞を受賞されました。オール讀物新人賞は、短編の賞なんですが、歴史のある由緒ある賞のひとつで、今までにも数々の有名作家さんがこの賞からデビューされています。ちなみにこの年は、あの、乾ルカさんと、同時に受賞されたということ。なんとレベルの高い賞だったんだろうと思われますね。

その2年後の2008年に、『ROCKER』で、第3回『ポプラ社小説大賞』で優秀賞を受賞されて、単行本でデビューを果たされました。

小野寺史宜さんは、数々の名作を手がけられていますが、その中でも印象が深いのは、2019年の本屋大賞で2位に選ばれた『ひと』でしょうか。この話は、両親を亡くした二十歳の青年が一個のコロッケを譲ったことがきっかけで、運命が変わっていくという青春小説です。小野寺さんの主人公や周りの人々を見つめる優しさが感じられる物語です。




みつばの郵便屋さん 感想 まとめ

いかがでしょうか。特に、そんなに大事件が起こるわけでもないけれど、郵便屋さんという私たちも身近に感じるお仕事の方が遭遇するさまざまな人間関係や出来事。

郵便配達のお仕事って、身近に感じる方が多いのではないでしょうか。郵便配達ではありませんが、私も学生の頃に、年賀状の仕分けのアルバイトをしたことがありますし、そもそも郵便物を受け取ったことがない人は、いないと思います。

明日から、郵便屋さんを見たら、「ご苦労さま」「ありがとう」なんて、声をかけられるような世の中になるといいなあなんて、思える物語です。

穏やかな日常の中にもさまざまなドラマがあり、また、主人公の郵便屋さん 平本秋宏くんは、決して、派手なキャラクターではないけれど、日々を頑張っている姿は、私たちに、ほっこりとした暖かさと、気負わない頑張りを与えてくれるのではないでしょうか。

本当に、ありそうでなさそうな、ちょっとした奇蹟の物語です。

 




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