大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の中でも、異彩を放っているのが、源義経ですね。
従来の義経のイメージとは、今回の義経は、一味も二味も違う気がします。
そんな源義経を演じられるのは、大人気俳優の菅田将暉さん。
大河ドラマは、『おんな城主 直虎』で、井伊直政役に続いての2回目の出演となります。
いやー、本当に、菅田将暉さんは、演技が上手いですよね。なんというか、あの義経のサイコパスさ、ファンキーさ。義経って、本当は、こんな性格だったんじゃ? と、従来の義経のイメージを覆す、あの熱演というか、怪演というか、なんというか。
毎回、義経の登場が楽しみでなりません。
今回は、そんな源義経って、どんな人だったんだろうということについて、書きたいと思います。
\源平合戦クライマックス!/
いよいよ壇ノ浦の戦いが描かれる #鎌倉殿の13人。
源氏と平家の最終決戦を前に、登場人物たちの兜・鎧姿をお届け!!第18回「壇ノ浦で舞った男」
5月8日(日)
[総合]夜8時
[BSP・BS4K]午後6時#菅田将暉 #源義経 #源氏 pic.twitter.com/D7YPmPPFnz— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) May 5, 2022
源義経は、何をした人? 幼名は牛若丸 母・妻は? 壇ノ浦の戦い、そして平泉
源義経は、平安時代末期から、鎌倉時代初期にかけての武将です。平治元(1159)年に生まれ、亡くなったのは、文治5(1189)年と言われています。31歳という生涯でした。
当時の平均寿命からすると、特に早死にというわけではなかったようですが、若くして、散ったというイメージが強い方ですよね。
判官贔屓という言葉もありますし、悲劇的で、儚げな印象が強い人です。
そんな源義経の幼名は、牛若丸。これもとても有名ですよね。源義朝の九男として生まれます。平治の乱により、源義朝が敗れ、戦死したことによって、義経は、京都にある鞍馬寺に預けられることになるのです。
その後、義経は、平泉へと、行き、奥州藤原氏の三代目、藤原秀衡の元で、庇護されます。
そして、同じく義朝の息子で、兄でもある源頼朝が、治承(1180)年に、治承・寿永の乱で、打倒平家のため、挙兵をしました。
頼朝と義経は、父は同じですが、母親が違います。義経の母親は、絶世の美女とも呼ばれた常盤御前です。
義経は、頼朝の元で、参戦し、平家追討の旗頭に立つことになります。
一ノ谷や屋島と平氏を追い詰め、ついに壇ノ浦の合戦で、平氏を滅ぼすのです。
平氏が滅びたのは、この義経の功績によるものと言って過言ではないでしょう。
ところが、義経は、頼朝にことわりを入れずに、勝手に官位を授かってしまいます。
頼朝と対立することになってしまった義経が頼りにしたのは、奥州・藤原秀衡。そう、幼い頃にお世話になった藤原秀衡の元です。
しかし、この頃、秀衡は、もう高齢であり、義経の平安は、そう長くは続きませんでした。秀衡が亡くなってしまい、その息子である泰衡が、頼朝に圧力をかけられてしまい、義経のいる衣川館を襲撃することになってしまうのでした。
義経は、ここで、一緒に落ち延びていた妻や子とともに、自害して果てるのでした。
この時、義経と一緒に最期を遂げたという妻が、あの有名な、静御前……ではなく、郷御前とされています。実は、義経の正室は、静御前ではなく、郷御前。『鎌倉殿の13人』では、里という名前で、三浦透子さんが演じておられますね。
源義経の死因・最期は? チンギスハンは伝説?
本当に、毎回、菅田将暉版・源義経を観るのも今回の大河の醍醐味ではありますが、そんな義経の最期が刻一刻と迫っているかと思うと、本当に、残念でなりません。大河ドラマは、時々、除名嘆願が出たりするそうですね、過去にも、信長とか、『新選組!』の山南啓介とか。さすがに歴史を変えちゃうわけには、いかないので、いつも聞き入れられないわけではありますが、一回でも長く観たいと思う今回の義経です。
それと同時に、どんな最期になるか、注目も集まっているようです。
そして、あの『チンギスハン伝説』、そう、義経が大陸に渡って、チンギスハンになり、あのモンゴル帝国を築いたという話。
この話が広まった背景には、いろいろな説があるようですが、いずれにしても、義経がいかにスター性があり、人々から愛されて、カリスマ性のあった人物であることが伝わってきます。
大河ドラマでは、この辺りのことは、触れるのでしょうか?
とにかく、あの今までにない、『菅田義経』が一体、どんな最後を遂げるのか! 目が離せませんね。
菅田将暉だけじゃない、義経が出てくる作品・義経を演じた俳優は?
もう本当に、源義経と言ったら、歴史上の好きな人物で、戦国・幕末以外でランクインする人って、この人しかいないんじゃない? と思うぐらい、知名度も人気も絶大な人物ですよね。
もちろん、数多くのドラマや映画、漫画や小説に登場します。
全て、あげていると本当にキリがないので、ここでは、大河ドラマで、義経が出てきた作品、演じた俳優さんについてを書こうと思います。
源義経が大河ドラマの主人公になったのは、『源義経』(1966年)と、『義経』(2005年)です。
もう、名前がそのままタイトルになってしまいますといったカリスマ性!
さすが、キャラクターが立っています。
1966年は、尾上菊之助さんが演じられたそうです。現在の尾上菊之助さんではなく、そのお父様の尾上菊五郎さんが演じられました。実は、この時に共演されたのが、現在の奥様である富司純子さんだそうですよ。富司純子さんは、寺島しのぶさんのお母様でもありますね。
2005年は、もう17年も前になるんだと、改めてビックリ! タッキーこと滝沢秀明さんが演じられた源義経でした。少年時代は、神木隆之介くん。もう、この時の義経は、キラキラしていて、イケメンで、日本人の持つ義経のイメージをそのまま反映したようなキャストですよねえ。静御前は、石原さとみさんで、とても初々しくて、可愛らしかったです。
さて、義経が出てくるのは、この二本だけではありません。主役じゃなくても主役を食うほどの存在感という義経、『新・平家物語』(1972年・志垣太郎さん)、『草燃える』(1979年・国広富之さん)、『炎立つ』(1993年・野村裕信さん)、『平清盛』(2012年・神木隆之介さん)、そして、今回の『鎌倉殿の13人』(2022年・菅田将暉さん)。なんと、5回も登場しています。
何年かに一度は、我々の前に登場する義経。年代によって、「私の義経のイメージは、この人だ!」と皆さんの中にも、さまざまな義経像があるのではないでしょうか?
ちなみに私は、やっぱり、2005年のタッキー、もしくは、当時の子役と2回、義経を演じておられる神木隆之介さんのイメージでしょうか。ただ、今回の菅田将暉さんの義経が好きすぎて、ちょっと、新たな義経像に変わりそうです。
それにしても、見事に、その時、その時の時代を代表するようなイケメンを配役に据えたなあと、感心するようなキャストの方々です。一度、ずらりと並んでもらって、義経の変遷を見てみたい気もします。日本のイケメンの移り変わりを現しているのではないかと、思ってしまうのです。
NHK新大型時代劇・武蔵坊弁慶の源義経
実は、義経がクローズアップされたのは、大河ドラマだけではないんです。
NHK大河ドラマと言えば、「戦国か、幕末、時々、義経!」と言ったラインナップですが、実は、『近代大河三部作』という現代劇が放送されている時代があったのです。1984年の『山河燃ゆ』、1985年の『春の波濤』、1986年の『いのち』でした。どれも素晴らしい作品ではあったのですが、やっぱり時代劇が見たい!というファンの声を反映してかどうかは、わからないのですが、やってくれたのですNHKは。
毎週、水曜日の20時から20時45分という、もう、まんま大河ドラマと言っても過言ではない枠での歴史物の時代劇が放送されていたのでした。
それが、『宮本武蔵』(1984年)、『真田太平記』(1985年)、『武蔵坊弁慶』(1986年)で、この3作の素晴らしさといったらなかったです。
『武蔵坊弁慶』は、もちろん、弁慶と義経の話です。この時、弁慶を演じられたのが、先日、亡くなられた中村吉右衛門さん、そして、義経は、川野太郎さんでした。義経ではなく、主人公が弁慶という、弁慶目線のドラマは、本当に面白かったです。
この水曜日のNHK新大型時代劇の三部作は、ぜひ、再放送、または、NHKオンデマンドで扱っていただきたいです。
源義経が出てくる小説・エッセイ
源義経が出てくるドラマ、映画、漫画は、数えきれないほどありますが、ここでは、エッセイと小説をご紹介したいと思います。
作者は、歴史小説家の永井路子さん。女性の歴史小説家としても、大御所中の大御所ですよね。
今回、ご紹介するのは、永井路子さんの『はじめは駄馬のごとくーナンバー2の人間学』です。
こちらの本は、ナンバー2として活躍した人物をそれぞれ取り上げています。今回の大河ドラマでは、北条義時がナンバー2として、成功者として語られており、逆に源義経に関しては、もっと上手く立ち回れなかったのかと、はっきり言って「ボロクソ」です^^;
私は、初めてこれを読んだ時に、「あの義経をこんなふうに書く人がいるなんて!」とのけぞり、その後、永井路子先生の大ファンになってしまいました。
エッセイ風で、永井路子さんの語り口は、本当に読みやすく書かれているので、ぜひ、読んでみられることをお勧めします。スタンドプレーが命取りなど、義経に関する意外な一面や、視点が描かれており、本当に面白いです。
どうやら、今は、なかなか手に入らないようで、図書館などで、探してみても良いかもですね。
永井路子さんは、往年の大河ドラマ『草燃える』の原作者でもあり、大変、数多くの平安末期〜鎌倉時代の物語を書いておられます。
この機会に、手にしてみては、いかがでしょうか?
また、最近、『炎環』という小説を本屋さんや図書館で見かけることは、ありませんか? これも永井路子さんの作品で、この作品では、昭和40(1965)年に直木賞を受賞されています。こちらの作品が面白いなあと思うのは、4つの短編から構成されているのですが、それぞれ主人公が違うこと。阿野全成、阿野全成の正室・阿波局、梶原景時、そして、北条義時の視点で描かれています。
この4人、大河ドラマの俳優さんを思い浮かべて読んでみると楽しいかも。
阿野全成といえば、頼朝の異母弟の新名慎也さん、阿波野局は実衣としてドラマを彩る、宮澤エマさん、梶原景時は、存在感たっぷりの中村獅童さん、そして、我らが主人公の北条義時は、小栗旬さんですね。
大河ドラマをきっかけに、さまざまな作品に触れていくのも、また面白いですね。