『あずかりやさん』のあらすじ、シリーズの読む順番は?作者は、猫弁の大山淳子さん。文庫本のカバーが人気!あずかりやさん4は、まぼろしチャーハン

本日は、大山淳子さんの小説、『あずかりやさん』についてを取り上げたいと思います。

なかなか外に出るのもままならない、このところ、お家で、ほっこりとした幸せな気分になれると、嬉しいですよね。

今回、ご紹介する『あずかりやさん』は、ほのぼのとした世界観の中に、ちょっと切ないような、目に見えない大切な何かを心に届けてくれる、そんなお話が詰まっています。

とても優しい物語なので、大人だけではなく、小学校高学年ぐらいから、中学生や高校生の方々にも楽しんでいただける物語だと思います。

私の住む街の図書館では、ティーンズのコーナーに『あずかりやさん』が置かれているのを見たことがあります。家族で楽しむのにも、また読書感想文の宿題などで書いてみるのもいいかなと思います。

お家で過ごすひとときに、ぜひ、読んでみたい小説ですね。

あずかりやさんのあらすじは?

『あずかりやさん』は、「明日町こんぺいとう商店街」というところにあります。

「明日町こんぺいとう商店街」は、東京スカイツリーの近くにある架空の商店街です。

そんな商店街の西のはじにあるのが、この『あずかりやさん』です。

看板がなく、店の前には、「さとう」というシンプルな「のれん」がかかっているだけ。

元々は、「菓子処・桐島」という和菓子屋だったお店です。

お店なのか、お家なのかもわからないような見た目です。

お店の中では、六畳間の片隅に座って本を読んでいる店主・桐島透さんがいます。

お店は、朝の7時から11時まで。お昼は、店を閉じて、午後は、3時から7時まで開いています。

そんなこのお店は、「あずかりやさん」という一日あたり百円のあずかり賃でお客様の「あずかりもの」をあずかります。あずかり期限は、最初にお客様が決めてもらったものを前払いしてもらいます。もし、期限内に受け取りに来られなかったら、「あずかりもの」は、「あずかりやさんのもの」になります。

店主の桐島さんは、七歳の時に目が見えなくなり、十七歳の時に、家族がいなくなって、ちょっとした事件に巻き込まれたことから、「あずかりやさん」という商売を始めたのです。

連作短編になっており、実は、語り手は、店主・桐島さんではないのです。誰が語り手なのかなあと思ったら、一話目は、なんと、お店にかかっている「のれん」の視点から。そう、あの「さとう」という「のれん」が語るんです。なんと、「のれん」の視点の小説なんて、びっくりですよね。

そして、2話目の語りでは、なんと、「自転車」! こちらも斬新ですよね。3話目以降も、ガラスケースだったり、また猫が語る話などもあったりと、その語り口の面白さに引き込まれてしまいます。

『あずかりやさん』では、表題の「あずかりやさん」、「ミスター・クリスティ」「トロイメライ」「星と王子さま」「店主の恋」などが収録されています。

どの話もとても面白いのですが、「店主の恋」のその後が気になりました。この話に出てくる石鹸さんや語り手の猫、あずかりやさんや、明日町こんぺいとう商店街のノスタルジックで、ファンタジックな世界観も伝わってきます。

全編を通して、優しくて、ちょっと切ない、ほのぼのとした物語です。




あずかりやさん シリーズの読む順番は? 最新刊は「まぼろしチャーハン」

そんな『あずかりやさん』シリーズですが、現在、『あずかりやさん』は、ポプラ社から、4冊刊行されています。

読む順番は、次の通り。

あずかりやさん(2013年5月 ポプラ社 / 2015年6月 ポプラ文庫)

短編「ひだりてさん」収録(文庫のみ)

あずかりやさん〜桐島くんの青春〜(2016年9月 ポプラ社 / 2018年7月 ポプラ文庫)

あずかりやさん〜彼女の青い鳥〜(2019年5月 ポプラ社 / ポプラ文庫 単行本と同時発売)

あずかりやさん〜まぼろしチャーハン〜(2020年12月 ポプラ社 )

サブタイトルを見るだけで、なんだかワクワクしてしまいますね。

あずかりやさん〜桐島くんの青春〜では、店主・桐島くんの学生時代が描かれます。桐島くんが「あずかりやさん」を始めた背景などが描かれていて、ちょっと切ない気分にもなります。

『あずかりやさん』から、順番に読むのがオススメですが、どの巻から読んでも、「あ、そうだったんだ!」みたいな新たな発見があって、また別の楽しみ方ができるかもしれません。




あずかりやさんは、カバーもお楽しみ

『あずかりやさん』は、物語も面白いけれど、もう一つ仕掛けがありまして、それは、

文庫本のカバー。

栃木県にある「うさぎや」さんという本屋さんが、「あずかりやさん」を広める

プロジェクトというものをなさっています。「あずかりやさん」の世界観にぴったりなオリジナルなブックカバーを作成され、また、本棚に、あの「のれん」をかけて、販売コーナーを設置されたのです。

本屋さんの中に「あずかりやさん」が!

この心温まる素敵な取り組みで、「あずかりやさん」は、多くの方々に手に取られ、大人気作品へとつながりました。

この素敵なブックカバー、本屋さんでご覧になられたことはあるでしょうか?
こんな素敵なカバーなら、すぐに手に取っちゃいそうですよね。




あずかりやさんのある『明日町こんぺいとう商店街とは』

実は、『あずかりやさん』のある『明日町こんぺいとう商店街』とは、『明日町こんぺいとう商店街』という本に出てくる商店街なのです。

『明日町こんぺいとう商店街』は、ポプラ文庫から発売されている人気の作家の方々の作品が収録されている短編集です。

『招きうさぎ』という商店街のマスコットが物語の世界に招き入れてくれます。

すでに1〜4巻まで、本が出ていて、本屋さんで、手に取られた方もいらっしゃるかもしれません。

大山淳子さんの作品は、1巻に収録されています。1巻は、7名の人気の小説家によるアンソロジー。

1巻に収録されている7名の小説家の方々はというと、大山淳子さん、大島真寿美さん、綾瀬まるさん、千早茜さん、松村栄子さん、吉川トリコさん、中島京子さんという豪華メンバーです。

また、2巻目以降も大沼紀子さんや島本理生さん、寺地はるなさんといった人気の小説家の方々の作品が収録されています。

こんな豪華な作家さんたちの作品を一度に読めるのも、アンソロジーの素晴らしいところですね。

もともと、好きな作家さんの作品が読めるのは、もちろん、また、読むのが初めての作家さんの作品にも出会えるのが嬉しいですよね。

『明日町こんぺいとう商店街』も『あずかりやさん』と、ぜひ、一緒に読んでみたいですね。




あずかりやさん 猫弁 シリーズの作者は、大山淳子さん

『あずかりやさん』の作者は、大山淳子(おおやま じゅんこ)さんです。

大山淳子さんは、東京都出身です。1961年生まれで、早稲田大学教育学部を卒業されました。

大山さんは、もともと、シナリオを書かれており、2006年に『三日月夜話』で、第32回城戸賞に入選されています。その後、2008年には、『通夜女』(つやひめ)で、函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリを受賞されました。

シナリオの大きな賞を取られたものの、映像化の機会が少ないということもあり、2011年に『猫弁 死体の身代金』で第3回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞されます。

『猫弁 死体の身代金』、衝撃的なタイトルですよね。猫弁って何? 死体の身代金って?と、このタイトルから、二度、三度、ハッとさせられます。見事なタイトルです。

そして、『猫弁』と聞いて、「あっ」と思われる方もいらっしゃるのでは?

そうです。その作品がのちにシリーズを重ねる『猫弁』なんです。何と、デビュー作だったのですね。『猫弁〜死体の身代金〜』は、吉岡秀隆さん主演でドラマ化もされ、『猫弁〜天才百瀬と厄介な依頼人たち〜」に改題され、書籍化されました。




猫弁について

大山淳子さんのデビュー作でもあり、代表作のひとつでもある猫弁。

猫弁の主人公は、百瀬太郎。お見合いを30連敗しているという婚活中の弁護士です。見た目もさえないんです。だけど、天才なんです。

猫が好きで、事務所も猫でいっぱいといういう百瀬太郎。

猫好きの方には、たまらない作品ですね!

この他にも大山淳子さんは、『猫は抱くもの』『分解日記』など数々の作品を執筆されています。

お家で過ごす時間のひとときにいかがでしょうか。

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