『かがみの孤城』が文庫本に! あらすじは? 漫画や舞台にもなった辻村深月の本屋大賞受賞作品

小説

こんにちは 2021年3月5日に『かがみの孤城』がポプラ文庫から、文庫本として、発売になりました。

『かがみの孤城』といえば、辻村深月さん原作の小説で、2018年の本屋大賞を受賞した作品です。当時もとても話題になり、大人気になりましたが、単行本で発売された当初は、500グラムを超える重さと、554ページという分厚さもあり、読みたいけれど、ちょっと、と、なかなか手が出なかった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回、ポプラ文庫から、上下巻、文庫本として発売されたこともあり、小さな鞄にも入って、持ち運びやすくなりました。通勤や通学の電車の中での細切れ時間を使って、読むこともできますね。

本日は、そんな『かがみの孤城』について、書きたいと思います。

『かがみの孤城』ってどんな話? あらすじは?

同級生から受けた仕打ちが原因で不登校が続き、子供育成支援教室にも通えずに部屋に引き籠る生活を続けていた主人公の中学一年生の女の子「こころ」が、5月のある日自室の鏡が光り、その向こうにお城で自分と似た境遇を持つ中学生6人と出会い、彼らとともに冒険していく(ウイキペディアより)

主人公は、安西こころ。雪科第五中学の一年生。雪科第五中学は、複数の小学校から生徒が集まる大きな中学校で、こころの小学校から進学した生徒は、わずかでした。

こころのクラスでは、大きな小学校からやってきて、友達も多い真田美織という女の子がクラスを牛耳るようになります。こころは、そんな真田さんに目をつけられてしまい、学校での居場所を失ってしまいます。

さらに、こころが中学に入って、仲良くなった大好きな東条萌ちゃんとの友情まで、このことが原因で二人の関係にも影響が出るのです。

この部分は、読んでいて少し辛くなってしまいます。

そんなこころの自宅の、自分の部屋にある「鏡」がある日、突然、光るのです。その鏡の向こうは、不思議なお城とつながっていました。そこには、様々な理由で学校に行っていない7人の中学生がいました。男の子が4人、女の子が3人です

ここで、こころは、オオカミさまと名乗る不思議な少女に出会い、3月30日までに、この城に隠されている「鍵」を見つけ出したら、見つけたものの願い事を叶えてやろうというお題を出されます。

安西こころ – 物語の主人公。中学一年生。

アキ – 中学三年生。

スバル – 中学三年生。

マサムネ – 中学二年生。

フウカ – 中学二年生。

リオン – 中学一年生。

ウレシノ – 中学一年生。

オオカミさま – 城の案内人。

 

 

現実の世界では、こころのお父さんやお母さん、意地悪な真田美織や友達だった東条萌ちゃん、『子ども育成支援』というスクールの喜多嶋先生などのキャラクターも出てきますが、お城の中は、この7人とオオカミさまの人間関係で話が進みます。

この7人のキャラクターの書き分けも、さすが辻村深月さんという見事さで、同じような年頃の男の子と女の子が7人も出てきても、誰が誰がごっちゃになるということがまずないんですよね。

アキは、活発な印象の女の子として、登場するし、フウカは、声優みたいな声の女の子として現れます。ウレシノくんは、すぐに女の子を好きになっちゃう恋愛体質な男の子として、出てくるし、スバルくんとマサムネ君は、二人でゲームをしていることが多いのですが、優しそうで物静かなスバル君と自分の意見をしっかり持ってそうな少し小生意気なマサムネ君、また、イケメンでおしゃれなリオン君が登場します。お城にいる登場人物の名前が、全てカタカナなのですが、読みにくかったり、ごっちゃになることはなく、みんなそれぞれ個性のあるキャラクターとして描かれています。

オオカミさまは、最初に7人に説明します。

「7人が願いの部屋を探して、願い事を叶える願いの鍵を探しあてるゲームをすること」「その期限は、3月30日までであること」「それぞれが来るときに使った鏡で出入りが可能なこと」。

そこで、謎が生じます。この7人が「なぜ、この場所に、この7人で集められているのか?」「この7人に不登校以外の共通点があるのか? なぜこの7人なのか?」「願いの部屋、そして、願いの鍵はどこにあるのか?」「オオカミさまの正体は、何者なのか?」というファンタジーの設定の中で、謎が伏線として散りばめられており、さすが、ミステリーの名手でもある辻村深月さんの作品だなあと思わせられます。

さらに城に居られるのは、朝の9時から17時までという通常、学校に行っている時間の間で、この規則を一人でも破ると、その日にお城に来ていた人が皆、オオカミに食べられるという「連帯責任」という設定も、また物語を盛り上げる要素となっています。




舞台化もされた『かがみの孤城』キャストは、誰?

さて、この『かがみの孤城』ですが、実は、2020年に舞台化もされたんです。

脚本演出は、成井豊さん。主演の安西こころを演じたのは、生駒里奈さんです。生駒さんもリオン役を演じられた溝口琢矢さんも、また中学時代に自身が悩まれていたこともあったといい、『かがみの孤城』という物語に大きく共感されたそうで、舞台にかける意気込みも熱いものがあったと思います。

2020年は、新型コロナウイルスの影響もあり、舞台化も難しい状況の中であったと思いますが、見事に素晴らしい舞台になったようです。

また、原作の辻村深月さんも学生の頃から、成井豊さんの作品を観ておられたということで、辻村深月さん原作で、成井豊さん脚本・演出というのは、小説のファンも舞台のファンも、どちらもたまらない作品だったでしょうね。

漫画化やオーディオブックにもなった『かがみの孤城』

さらに『かがみの孤城』は、オーディオブックにもなっています。皆さんは、オーディオブックは、体験されたことがありますか? 私は、最初、「オーディオブックって、単に耳から本を聞くだけでしょ」と思っていたのです。でも、小説のオーディオブックってナレーションやセリフを声優さんたちが演じられたものを聴くのって、すごく臨場感があり、本の文字を目で読むのとは、また違う五感の世界が広がるんです。

小説を読んだ後で、オーディオブックを読んだら、「え? このキャラクター、こんな声だったの?」という新しい発見があったり、また、オーディオブックを聴いてから、小説を読むのも、「長い話なので、ちょっと億劫で読みにくいかなと思ったけど、とっつきやすい」などの利点があると思います。

目で読むのもよし、耳から味わうのもよし、ファンタジーの世界が頭の中、いっぱいに際限なく広がっていくこと、間違いなしです。

そして、オーディオブックで、主人公のこころと「語り」を演じるのは、声優の花守ゆみりさん。

小説を読んでから、このオーディオブックを聴いてみたのですが、キャストの声は、どの声優さんも素晴らしくて、私は、よく合っているかなあと思いました。まるで、耳から、アニメを聴いているみたいで楽しいです。

また、『かがみの孤城』は、ヤングジャンプコミックスから、漫画も出ています。作画を手がけられたのは、『EVIL HEART』や『この恋は実らない』などの作品がある武冨智さんです。私も漫画を読みましたが、とてもきれいな絵で、「小説を読んでみたいけど、ちょっと分厚いかなあ」と、ためらわれている方は、まず、こちらの漫画から入ってみるのも良さそうですね。




『かがみの孤城』の作者、辻村深月さんについて

辻村深月さんは、1980年2月29日生まれ。この2月29日というのは、あの赤川次郎さんと同じ誕生日なんですね。4年に一度という特別感もある日でもあり、小説家の星の下に生まれてきたのかな?と思ってしまいますね。

綾辻行人さんや京極夏彦さんの作品に影響を受けながら、作家を目指し、2004年に『冷たい校舎の時は止まる』でメフィスト賞を受賞して、デビュー。2012年に『鍵のない夢を見る』で直木賞を受賞されました。

また、ドラえもんの映画の脚本やノベライズも手がけ、様々なジャンルや分野で、活躍されています。私もドラえもんが大好きなので、ドラえもんに影響を受けたという辻村深月さんの作品は大好きです。この他にも「ぼくのメジャースプーン』を始め、ぜひ、手に取って欲しい作品がたくさんあります。

まだ、辻村深月さんの作品を読まれたことがない方は、ぜひ、この機会に『かがみの孤城』の文庫本を手にとってみられてはいかがでしょうか。




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