川路聖謨とは、どんな人? 大河ドラマ『青天を衝け』 下田日記・プチャーチン 川路利良とは別人 川路聖謨役は平田満さん

今回は、大河ドラマ『青天を衝け』にも出てくる川路聖謨について書きたいと思います。

よく、平岡円四郎の長屋に訪れて、円四郎や、妻のやすに、とてもよくしてくれるというイメージで、登場するとなんだか癒されたりしますよね。

そんな川路聖謨ですが、一体どんな人だったんでしょう?

川路聖謨は、どんな人?

川路聖謨が生まれたのは、享和元年(1801)年。

実は、川路聖謨の大河ドラマ登場回数は、今回が3回目なんです。「へえー、初めてかと思った」と思われる方も多いかもしれませんね。過去には、1990年の『翔ぶが如く』、2008年の『篤姫』に登場しています。

川路聖謨の読み方は、(かわじとしあきら)と読みます。難しくて、ぱっと見、読めないですよね。

川路聖謨は、渋沢栄一よりも、約40歳ぐらい前の世代の人になります。

生まれたのは、豊後国日田というところ。現在の大分県日田市になりますね。日田代官所の役人の内藤吉兵衛の長男として生まれます。

元々の幼名は、弥吉といったようです。川路聖謨は、難しい名前ですが、弥吉なら、読みやすいですね。

文化5(1808)年に、川路聖謨は、御家人株を取得した父親と江戸に行きます。

御家人株とは、江戸時代の中期から後、生活に困った御家人が農民や町人に養子縁組の形をとり、御家人の家格を売り渡すことです。それにより、川路聖謨は、小普請組の川路光房の養子になります。

その後、川路聖謨は、努力を重ね、持って生まれた才能も生かし、なんと勘定奉行まで登り詰めます。そして、幕府の財務を司ることになるのです。すごい出世ですよね。

その職務に携わるうちに、海外や西洋のことも勉強し、詳しくなるのです。

さらには、あの老中・阿部正弘から、海防掛をに任されます。外国船の来航の備えに尽力を尽くします。




川路聖謨とプチャーチン 下田日記とは その生涯は

そして、長崎に来航したロシア使節プチャーチンとの交渉も担当します。安政2(1854)年には、下田で「日露和親条約」に調印。

その下田に滞在した時のことが書かれているのが、川路聖謨が書いた「下田日記」です。

川路聖謨は、嘉永7(1854)年〜安政2(1855)年にかけて、三回、下田に滞在しています。

日露和親条約が結ばれたのは、一度目に下田に滞在していた時のことです。

ドラマの中でも平岡円四郎や、やすとの気の利いた会話を楽しませてくれていますが、川路聖謨の知性とウイットに富んだ人柄は、ロシア人をも喜ばせたということです。

川路聖謨の人柄に魅せられたロシアの人たちが彼を肖像画(写真)にしようとしたら、ウイットにとむ断り方で、うまく断られたという逸話があるようです。

そんな川路聖謨でしたが、将軍後継問題では、一橋派を推していたため、罷免させられてしまいます。その後、外国奉行に復帰しますが、名ばかり職のような状態に不満を持ち、病気を理由にして、辞職します。

晩年は、病に悩まされたようです。中風により、半身不随になったり、また弟の井上直清が死去するという辛い出来事が続きます。

そして、慶応4(1868)年、江戸城総攻撃の予定日になっていた3月15日に、割腹の上、ピストルで、自殺をします。日本で初めてのピストル自殺だったと言われています。

勝海舟と西郷隆盛の階段によって、江戸無血開城が決まったことを川路聖謨は、知らなかったと言われています。

病気で迷惑をかけてはいけないということからの自殺だったようです。

現在、大河ドラマ『青天を衝け』で平田満さんの演じている川路聖謨は、平岡円四郎や、やすのことを気にかけるとても優しいお父さんみたいな存在として描かれているので、この衝撃的な最期には、とても驚きました。




小説や漫画にも登場する川路聖謨

一見、地味で、あまり知られていなさそうな川路聖謨でありますが、実は、小説や漫画にも登場しているんです。

まず、徳永真一郎の『幕末閣僚伝』という本に「川路聖謨」が収録されています。こちらは、幕府側の人間のことを描いた作品です。川路聖謨以外にも阿部正弘、堀田正睦、井伊直弼をはじめとする8人のことが取り上げられています。

また、吉村昭の『落日の宴-勘定奉行川路聖謨』(上・下)は、歴史物の長編小説。川路聖謨のプチャーチンとの日露和親条約のこと、川路聖謨の業績を描いた作品です。

さらに佐藤雅美の『立身出世ー完了川路聖謨の生涯』(文庫化の際に『官僚川路聖謨の生涯』に改題)があります。

他にも『川路聖謨の佐渡赴任日記』(鹿野島孝二・著)などがあり、帯には、『サラリーマン奉行の出張人生』とも書かれており、現代のサラリーマンにも通ずるものがありそうですね。

そして、漫画では、あの手塚治虫さんの『陽だまりの樹』や、みなもと太郎さんの『風雲児たち』にも登場しているんですよ。

もちろん川路聖謨は、脇役で、それ以外の幕末の人物もたくさん出てくるので、合わせて読んでみたいですね。

漫画で日本史のことを学ぶのもとてもいいですよね。

 




川路聖謨と川路利良、名前は似てるけど、別人

川路聖謨と似た名前に、川路利良という人がいます。こちらは、同じく幕末に活躍した人なんですけれど、全くの別人なんです。でも、最初、「あれっ?」と思った人もいませんかね。私もちょっと、川路利良を思い出してしまいました。

ちなみに川路利良は、薩摩藩士です。漫画やアニメの『るろうに剣心』にも出てきますが、大河ドラマファンの方は、やっぱり2018年の大河ドラマ『西郷どん』(せごどん)で、泉澤祐希さんが演じられた川路利良のイメージが強いのではないでしょうか。

川路利良は、西郷隆盛や大久保利通よりも少し年下で、同世代には、五代友厚、少し年下に桐野利秋がいます。

初代大警視(警視総監)になった人です。『西郷どん』では、西南戦争で、警察隊を率いて、西郷たちと戦うという辛いシーンもありましたね。




川路聖謨役は、平田満さん

大河ドラマ『青天を衝け』では、川路聖謨は、平岡円四郎や、平岡やすの力になったりと、とても優しそうなイメージですよね。

そんな川路聖謨を演じるのは、平田満さんです。ベテランのドラマや映画に欠かせない俳優さんですよね。

平田満さんは、1953年生まれで、年齢は、現在67歳になられます。愛知県の出身です。

何と言っても外せないのが代表作の映画『蒲田行進曲』です。階段落ちのシーンでも有名な映画ですよね。

『蒲田行進曲』は、つかこうへいさん作・深作欣二監督で撮影された映画で、風間杜夫さん、松坂慶子さん、平田満さんが出演されている映画です。1982年の公開ということで、すでに40年近く前の映画になりますが、誰もが知っている日本を代表する映画の一つですよね。

また、平田満さんは、大河ドラマにも欠かせない俳優さんの一人で、なんと大河ドラマ出演作品は、今回が6回目になります。今までに、『独眼竜政宗』『翔ぶが如く』『平清盛』『花燃ゆ』『西郷どん』『青天を衝け』に出演されています。

特に『翔ぶが如く』『花燃ゆ』『西郷どん』『青天を衝け』は、幕末の、ほぼ同時代の話です。

『翔ぶが如く』の大村益次郎と『花燃ゆ』の山根文季は、長州藩の医師、『西郷どん』の大久保利世は、大久保利通の父という薩摩藩士ということで、今回とは、反対の立場の役どころです。

時代は同じでも、置かれた立場や環境や考え方の違う役どころは、難しいと思います。役者さんって、本当にすごいですね。

またフジテレビ系のドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』にも出演。ゲスト出演として、難しい役柄をこなされていました。このドラマは、韓国で放送されたドラマのリメイクで、大人気の韓国の男性グループBTSが主題歌ということでも有名なドラマですよね。

さらに平田満さんは、NHKの朝ドラ『エール』にも出演されました。この『エール』というドラマは、ヒロインである音の実家が愛知県の豊橋市ということで、豊橋出身の平田満さんには、ぴったりの役ですよね。

最近では、TBS系ドラマ『リコカツ』では、ご病気のため降板されることになった佐野史郎さんの代役で、主人公である北川景子さんの父親役を務めることになりました。

また奥さんである井上加奈子さんと『アルカンパニー』という企画プロデュース共同体を制作されています。

平田満さんは、インタビューの中で、川路聖謨は、時流に乗れなかった幕府方の人間で、そこに魅力を感じるとおっしゃっておられます。あまり知られてはいないものの、その功績は大きく、現代のサラリーマンに通ずるものもある川路聖謨。平田満さんの川路聖謨が今後も楽しみですね。

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